皆さんは、モラル・ハラスメントと聞いて、どんなことを想像しますか?
企業でもハラスメント問題が大きく取り上げられ、教育が盛んにおこなわれている昨今
パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、マタニティハラスメントは、内容もかなり知られていると思います。
けれど、モラル・ハラスメント(モラハラ)はどんな内容が当てはまるのか、まだぼんやりとしたイメージしか無いように思われます。
職場、交友関係、家庭内で人間関係に悩み、苦痛を感じている時、気付かない内にモラハラを受けているかも知れません。
今回は「職場で起きるモラハラ」について説明したいと思います。
モラルハラスメントとは?
モラハラとは、人が生活するうえで守るべき社会的な基準や規範(モラル)に反した精神的ハラスメント(嫌がらせ)を指します。
人の心を壊す「精神的暴力」とも呼ばれています。
肉体的な暴力とは異なり被害状況が見えにくく、外部からは勿論、当事者も気付きにくいハラスメントです。
モラハラの定義や例示は下記ページで紹介していますので、参考にしてみて下さい。
▶モラルハラスメント/モラハラ夫、モラハラ彼氏とは?
職場で起きるモラル・ハラスメント
職場でのモラハラは、パワハラと違い職権に関係なく、同僚間で起きたり、部下から上司に起こるケースもあります。
モラハラは物的証拠が残りにくく、加害者が正しいふるまいに見せかけようとする傾向もあるため、周囲の人に気付かれにくいハラスメントです。
そのため、まずは被害者が「ハラスメントを受けている」と気付くことが重要です。
以下に具体的な例を紹介します。
無視や人間関係の切り離し
挨拶や業務内容についての質問にも返事をしない。メール連絡も返信をしないなどの無視をするといった行為はモラハラです。
昨日までは普通に会話していたのに、ある日突然無視されるなど、被害者には全く心当たりが無い場合もあります。
また、発言権を与えない、業務上必要な連絡を伝えない、職場の忘年会に呼ばないなど、人間関係を切り離すといった嫌がらせに発展することもあります。
情報を遮断させることで、被害者は孤立したような苦痛を味わうでしょう。
また、周りから見て気がつきにくく、相談したとしても「気のせいじゃないか」「気にしすぎじゃないか」と言われてしまうこともあります。
プライベートへの介入
恋愛、結婚、性的指向などプライベートな事柄についてしつこく聞いたり、休日の付き合いを強要することもモラハラに該当します。
また、答えないと難癖をつけてきたり、誘いを断ると機嫌が悪くなったりするため、被害者も仕方なく付き合ってしまいます。
周囲から気付かれにくいハラスメントで、被害者が声をあげなければ「仲が良い」と思われることもあります。
誹謗中傷
誹謗中傷は、社会的評価を低下させるような根拠のない「悪口」や「デマ」を言いふらしたり、インターネット上に投稿したり、人格を攻撃する行為のことです。
具体的には次のようなことが該当します。
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昨今では陰口を叩かれるだけでなく、SNSを使った拡散によって被害が拡大する事例が多くなっています。
また、言葉によるモラハラには、悪口と認識されにくいような人格否定が含まれていることがあります。
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こちらはモラハラかどうかの判断が難しく、被害者も「自分が悪い」と思い込んでしまうことがあります。
仕事の妨害
明らかに能力を超えた量の仕事を与える、知見のない業務を命じる、理由もなく担当を外す、業務遂行に必要な情報を与えないなどもモラハラに該当します。
被害者だけでなく会社の業務効率やコストにまでダメージを与える行為がモラハラ事案では多く報告されています。
中には、コピー取りなどの雑用や不要な仕事を延々と命じられることもあります。
労働環境を悪化させる
人前で必要以上に叱責したり、侮辱したりし、被害者が居づらい環境にするということもモラハラに該当します。
睨んだり、舌打ちをする、変なものを見るような目で見る、ものに当たる、といった行為や、物音を立てる、扇風機を当て続けるなどの行為もモラハラと言えるでしょう。
対処法
職場でのモラハラは、判断に迷ったり、相談できる人が周囲にいなかったりと、対応を先延ばしにしてしまう傾向があります。
また、被害者の特徴として自分の意見を言うことが苦手だったり、我慢強い、自分を責めてしまいがちなどの傾向があります。
ですが、精神的に追い詰められている場合、何らかの対処をしなければ状況はどんどん悪化していくでしょう。
そして、心の負担が重くなればなるほど、回復にも時間が掛かります。
ですので、やはり対処することが賢明な判断と言えるでしょう。
会社の窓口に相談する
会社の規模にもよると思いますが、最近はコンプライアンスの相談窓口を設けている企業が増えています。
会社でそのような取り組みがある場合、まずは指定の相談窓口に相談してみると良いでしょう。
誰かに相談するときには証拠があると信憑性を証明できます。送られてきたメール、渡されたメモ、暴言を吐かれた時の録音データなどが証拠としてとても有効です。
一般的に、ハラスメントの録音が違法になることはありません。
また、日記のようにモラハラを記録したメモも有効です。「いつ」」「誰が」「どのように」モラハラをしたのかを記録し、よれによって受けた被害の状況(体調不良の内容)なども書き留めていた方が良いでしょう。
実際にモラハラによる体調不良や精神的な不調がある場合は、医療機関を受診し診断書を取得しておくことをおすすめします。
労務局に相談する
労働局は、各都道府県に設置している労働問題に関する相談や解決を行なっている行政の機関です。
労働者が無料で相談できる場所でもあります。
会社に対しての強制力はありませんが、労働基準法とは関係がない問題でも相談に乗ってくれ、具体的なアドバイスをしてくれたり、会社との間に入って和解の場を設けてくれたりします。
無料で相談できるので、社内の人に知られたくない場合や、社内に頼れる人がいない場合は、労働局に相談してみるのもいいでしょう。
休職する
うつ症状や、不眠、頭痛など、精神的・肉体的なダメージが強い場合、休職するという方法もあります。
周囲への迷惑や影響を心配するより、まずはご自身のことを考え、治療に専念して心身を回復させましょう。
転職する
それでも改善されない場合、転職するのも1つの方法です。
「なぜ被害者の私が?」と思うかも知れませんが、モラハラは精神的な苦痛も大きく、酷いときには精神疾患を患うこともあります。
会社がモラハラに対処してくれればいいですが、相談しても解決しないような場合、ずっとその環境に身を置くよりも、転職して新しい環境で仕事をするほうが、あなたの人生にとってプラスの選択をしたと言えるのではないでしょうか。
最期まで読んで頂き、ありがとうございます。
もし今現在、職場で上記のようなモラハラを受けており、心身に不調があらわれていたら、直ぐに何れかの行動をとるようにしましょう。
あなたの幸せのために、あなたの行動が必要です。そこから更なる幸せに向かう新たな人生がスタートします!
~ Shiho ~